自作PCの配線を上手に整理をしよう(作例も紹介)

せっかく自作PCを組み立てたのに、中の配線がぐちゃぐちゃなそこのあなた。ぜひ裏配線やケーブル整理をしましょう!
ケース内の配線を整理したい、人に見せるわけではないけど見栄えをきれいにしたい、そんなあなたに、ケース内配線のなんぞやをお伝えしたいと思います。
私自身、ATXケースを使っていたときの裏配線、現在使っているMini-ITXのケース内配線をきれいにして、見た目もメンテナンス性も向上させることができ、満足しています。
配線のまとめ方、どこまで妥協せずに配線するか、メンテナンス性などをまとめました。
また、当初はATXケースだけの記事でしたが、Mini-ITXに乗り換えたので、Mini-ITXのケーブル整理についても加筆しました。
なぜ裏配線をオススメするのか
そもそもなんで裏配線をするんだろう、と言う内容を、勝手な想像のもとに書いてみます。
ケース内部のエアフロー確保

裏配線をする1、2を争う理由です。
裏配線をしていない場合はエアフローが悪くなり冷却効率が悪くなりそうです。その理由は、ケーブルが物理的に空気の流れを遮るから、というものです。
2005年ごろ(私が自作PCに手を出した頃)のPC用ケースは、特にそういった概念はありませんでした。CPU性能が今よりも低く、排熱に対する考慮をそこまでしなくても良かったのかもしれません。
昨今のパーツはCPU、グラフィックスボード、ディスク類など、高速化に伴い発熱量も多くなりました。
これを少しでも改善するため、エアフローの妨げにならないよう、配線を裏側に回して表側は空間を作り出しています。
LED搭載パーツによる見栄えをよくする

これも裏配線をする1、2を争う理由たるものでしょう。
ケースに関しては、ガラスパネルタイプのケースより前に裏配線できるケースが先にあったと記憶しています。
裏配線ができると表側は当然きれいになります。するときれいになった表側をガラス越しにLEDで装飾するようになりました。
今ではいわゆる「見せる(魅せる?)」ケースが主流になっており、特にATXやMicroATXのケースでは配線を裏側で行うタイプがほとんどです。
過去、InWinの805というケースを使用していましたが、裏配線側もガラスパネルになっていたので、裏側も手抜きができない素敵なケースでした。
その思いが強く、今でも裏側は手を抜かずに配線整理しています。
メンテナンス性の向上

「メンテナンス性」も、裏配線を行う理由の一つと言えます。
ケーブルをまとめる過程で「ケーブル同士が絡まないようにしよう」という意識が働くため、ケーブルを1本だけ抜き取りたい、という作業が非常に簡単にできるようになります。
これは裏配線ができないMini-ITXケースを使い始めてからも意識していて、中の見栄えをきれいにするためにケーブルをまとめると、ケーブル1本のみに対する作業が格段に行えるようになりました。
特に私の場合は、メンテナンス性も重視して裏配線やケーブル整理をしています。
ATXケースで裏配線と配線整理をしよう(使用ケース:CORSAIR CARBIDE 275R)
ATXケース「CORSAIR CARBIDE 275R」は裏配線できるスペースが設けられており、このスペースに余ったケーブルをまとめていきます。
すでに裏配線されている状態なので、これらのケーブルがメンテナンスしやすいように整理していきます。
ケーブル整理の作業前後比較
作業前後の比較です。
作業前はケース上側のケーブルがまとめられておらず、前面(画像左側)ケースファンの電源ケーブルも最短距離で配線されています。
作業後は原則、すべてのケーブルが真ん中のケーブル群に集中するように配線しています。また、ケース上側のケーブルも余長がまとめられて宙ぶらりんになっていません。
作業前(裏側)

作業後(裏側)

作業後(表側)

ケーブルを整理する
ケーブルを整理を行うにあたり、気を付けたポイントを紹介します。
SATAケーブルの処理
作業前(裏側)の画像を見ると、SATAケーブル余長がきれいに処理されていません。
そこでSATAケーブルの余長は、ドライブベイの隙間に収納しました。

作業後は余長が見えなくなったので、見た目がよくなりました。また、ドライブだけを取り外したいときも、ケーブル余長のおかげで、簡単にケーブル着脱やドライブ取り出しができます。
電源ケーブルの処理
SATA用の電源ケーブルも長さが余っています。
電源ケーブルの余長は、電源ユニットとドライブベイの間にあるスペースに収納しました。
また電源付近にあるオーディオ用ケーブルやファン用電源ケーブルは、ホームセンターで入手できるケーブルを通すクリップを貼り付けています。

電源ユニットのケーブルがプラグイン方式のため無駄なケーブルがなく、電源付近にスペースがあり、ケーブルはこのスペースを活用しています。
ケースファン・簡易水冷用ファン用ケーブルの処理
ケースファンや簡易水冷用ファンの電源ケーブルは、系統ごとに分けています。
この場合の「系統」については、ケースファンと簡易水冷用ファンはいっしょにまとめることはせず、機器の種類ごとにまとめています。

簡易水冷用ファンにはLEDが搭載されており、別途配線が必要です。
同じファンから出ているケーブルですが、LED用ケーブルと電源ケーブルはいっしょにまとめることはせず、ここでも「系統」でわけています。
配線をするときのポイント
裏側にあるドライブベイは、なるべく避けるように配線しました。
これは、あとからドライブを増設したり移動したりする際にケーブルが邪魔にならないように、追加の配線が容易に行えるように考慮しています。
「とにかくきれいにまとめる」ことに重きを置いて作業しましたが、「作業後(裏側)」を見る限り、思ったよりもきれいに整理できたと思います。
Mini-ITXケースは配線整理に重点を(使用ケース:RAIJINTEK OPHION EVO)
Mini-ITXケースは、小型であるという性質上、裏配線できるケースはそう多くありません。
私が購入したRAIJINTEK「OPHION EVO」もその例に漏れず小型なケースのため、裏配線できるスペースはありません。
Mini-ITXケースの配線は通り道を考える

ケース内はとにかく狭い。
狭いスペースで効率よくきれいに配線するには、事前にある程度配線を想像しておく必要があります。これができないと、電源をつけた後に再度取り外し、とかマザーボードを再度取り付けなおし、なんてことになります。

最終的に写真のような配線にできれば、かなりいい感じなのではないでしょうか?
このケースはSFX電源を使用すると、電源の後ろ側と左側に隙間ができます。余分なケーブルは、このスペースに収納することができますので、裏配線の役割を担ってくれます。
失敗してもいいからイメージを形にするために一部配線してみる

本当は細かい線を先にやった方がいいですが、わかりやすいので電源ケーブルを先に押し込んでみました。スリーブタイプのケーブルですが、どのタイプでも似たような感じで押し込めます。
初めて組み込んだときの写真ですが、この配線がすべてのイメージを作り出したと考えています。

電源周りの空きスペースにケーブルを詰め込んでいます。
電源の裏側にはマザーボードやCPUへの電源ケーブルとファンやLEDへのケーブル、左側にはグラフィックボード用と簡易水冷クーラー用の電源ケーブルを押し込んでいます。
後ろ側にまだ詰め込むスペースがあるので、左側のケーブルを押し込むことも可能です。

CPU電源ケーブルは、ケース底面の手前部分にある目隠し(?)の部分を通しています。ケースファンと目隠し部分に隙間があり、その部分を通すことができました。
ファンの直上にケーブルを通しても問題ありませんが、見た目やケーブル長を考慮して、写真のように通しています。
また、マザーボード用電源ケーブルの下を通して、できるだけすっきりした見た目にしています。
100円均一で売っているケーブルまとめも活用してみる

このケースは、マザーボード取り付け側とグラフィックボード取り付け側が背中合わせになっています。
グラフィックボードの下にあるスペースには、フロントUSBポート用ケーブルや背面にある電源接続ポート用のケーブルを取り回します。
これらがばらけないように100円均一でコードクリップを購入して使用しています。写真だと、ケース内底面の中ほどについている黒い物体です。私はいつも4個入100円(税別)で購入しており、ケース内以外でも活用しています。
RAIJINTEK OPHION EVOを使用した自作PCについては、以下の記事にまとめています。
Zen2仕様の新型APU「Ryzen 7 PRO 4750G」は「1石」二鳥を超える高性能なCPUだった
AMDのAPU「Ryzen5 3400G」とRAIJINTEK「OPHION EVO」でオシャレなMini-ITXの小型PCに作るぜ!
最小構成Mini-ITXならば配線を1~2箇所まとめるだけできれいに整理できる(使用ケース:SilverStone ML05)
Mini-ITXケース「SilverStone ML05」を使用したPCでは、組み込んでいるパーツがほぼ最小構成のため、配線はシンプルです。

ボックスタイプのドライブが存在しない、LEDテープ等がない、電源ケーブルがマザーボードに接続する2系統しかないため、ケーブル本数が少なめです。
フロントUSBポート、オーディオ用ケーブルを他のケーブルとできるだけまとめて、1か所に集約しています。

1か所、ケーブルをまとめている箇所がありますが、これはケーブルを束ねる目的ではなく、フロントUSBポートのケーブルが固いうえに抜けやすいため、曲がる位置を調整するために束ねています。
この束ねたUSBケーブルの位置に他のケーブルがやってくるように配線しています。
SilverStone ML05のケースとパーツ構成においては、特に難しい配線はありませんでした。
SilverStone ML05を使用した自作PCについては、以下の記事にまとめています。
あまったパーツでMini-ITXのPCを自作して感じた、小型自作PCの3つのメリット
裏配線、ケーブル整理のメリットとデメリット
実際に裏配線やケーブル整理をして感じたメリットとデメリットをまとめました。
メリット
側面パネルがガラスやアクリルの場合、パーツの見栄えが格段に上がります。
趣味で愛着を持って組んだPCなら、たとえ自己満足だとしても、良く見せたいものです。
また、ケーブル余長を裏側に回すことで表側にスペースができ、エアフローが改善されます。
ケースファンへのケーブル巻き込みの心配も、裏配線をすることにより、ほぼなくなりました。。
デメリット
デメリットは、とにかく作業時間がかかることです。
マザーボードにケーブルを挿すタイミングを間違えると接続や配線をやり直しなど、手間がとにかくかかります。
また、裏配線のために結束バンドや延長ケーブルなどの余計な買い物が発生するうえ、その在庫がどうしても残るのも悩みの種です。
メンテナンス性
メリットかデメリットかわからないのが、メンテナンス性です。
いくら裏側でも、ケーブルを押し込めた裏側がスパゲティ状態だとメンテナンスは大変です。
なんでもかんでも結束バンドでまとめてしまうと、あとで1本だけ交換したいときにばらしてまとめて、再作業が発生します。
ある程度系統分けして結束バンドでまとめるなど、メンテナンス性を犠牲にしない工夫が必要です。
Mini-ITXケースではメリット・デメリットが逆になる?
Mini-ITXケースは内部が狭いため、裏配線は基本的にできません(できるケースもあります)。
裏配線ができないということは、見える部分に対して配線整理をする、ということになりますが、狭いケース内では作業も難しい、ケーブルをまとめて収納しておくスペースを探すのも難しいです。。
また、配線の変更やパーツ交換など、何かを変えようとすると全ばらし状態に近いところまで手を入れなければならないため、ケーブル整理は完全に「見た目」のみのメリットとなります。
裏配線なんて自己満足だけど満足度は高い
裏配線やケーブル整理は、所詮自己満足なんだな、って思います。きれいにして中を誰かに見せるわけでもないので、キレイになって見栄えが良くなった、という自己満足です。
InWin805のケースのように裏側がみえるわけでもありませんのできれいにしてもしなくても、それは自由です。
しかし、ガラスパネルを採用しているようなケースであれば、キレイにした中身が見栄えよく映ればそれこそ「自作PCの魅力を以前よりも引き出せた」と満足できることでしょう。
完全な自己満足な記事でした。